2010年1月16日土曜日

対ハイチ支援案(WP紙 社説)

2010年1月15日付 ワシントン・ポスト紙 (社説)
“Averting Chaos in Haiti " (ハイチにおける大混乱を回避するために)”

【概要】

 オバマ大統領は、ハイチにおける言語に絶する大災害に対する米国の対応策を発表した。これは、同情心と緊急事態であるとの認識がメッセージにこめられた、ありうべきものであった。しかし、この対応策には明白で説明のつかない遺漏がある。

 大統領が緊急に送ろうとしている支援や当初の支援として約束している1億ドルが過少であると述べているわけではない。

 しかし、現在のところ、支援のほとんどは空港に積みあがっており、支援物資を運搬したり分配したりする上での障害は非常におおきなものである。

 多くのハイチ人家族は、現金を必要とするだろう。しかし、100万人以上のハイチ人、その1/3は大人であるが、彼らは、外国の親類、その大部分は米国にいる親類であるが、彼らからの送金に頼っている。これらの送金は、ハイチのGDPの1/5から1/3に達する。

 しかし、オバマ政権は、暫定的な法的地位を与えることによって、米国に違法入国している数万人のハイチ人を助けることを拒否している。米国に違法滞在しているハイチ人に対して暫定的な法的地位を与えることによって、彼らは労働許可証を得ることができるのだ。

 オバマ大統領は、米国に違法滞在しているハイチ人が被災した故国の親類を助けることができるよう、彼らに対して即座に「暫定的保護地位」を与えるべきである。

 オバマ大統領はまた、IMF及びその他国際機関や債権国に対して、ハイチの6億4100万ドルにのぼる負債を放棄にするよう圧力をかけることができよう。 プレバル政権が再度基盤を固めることができるよう助けるというのが米国の中長期的目標であるべきであるが、負債帳消しを実現するための圧力は、この目標に向けた穏当な最初のステップとなろう。

2010年1月10日日曜日

イエメンの国家建設を渋るな(WP紙 社説)

2010年1月10日付 ワシントン・ポスト紙 (社説)
“Why it's wrong to rule out nationーbuilding in Yemen"
 (イエメンの国家建設に反対するのが誤りである理由)”

【概要】

 専門家は、イエメンでアル・カーイダに米国攻撃要員を訓練することを可能にする環境を生んでいるのは、①同国において統治がなされていないか、あるいは好ましくない統治がなされていること、②極度の貧困の存在、③イスラム過激派が布教したり威嚇したりするのが野放しになっていることであると述べている。専門家はまた、それへの対処方法は、戦闘員殺害を目的とする反テロ作戦の実行以外にできることはあまりないと述べている。米国は、イエメンやソマリア、アフガニスタンを安定した国家にするための手法も手段も有しておらず、そうした根本的な要因に対処しようとするのは徒労であるという。オバマ大統領もそのような敗北主義的態度に影響を受けることがあるようである。

 しかし、破綻しつつある国あるいは既に破綻してしまった国において、米国及びその同盟国が協力して統治体制を作り上げたり、経済開発を実現したりすることは不可能であるとか、そのようなことはなすべきではないと考えることは危険なほど誤っている。

 そのような考えは、反テロ作戦行動のみでは2001年以前にアフガニスタンでアルカイダを防御したり、イエメンやソマリアでアル・カーイダが着々と増強するのを防ぐことが出来なかった点を無視している。また、米国が長期にわたって、安全保障に対する脅威に対して、開発への投資及びよき統治に対する投資をもって闘い、これに大体において成功してきた点をも無視している。マーシャル・プランや進歩のための同盟、エイズ対策などがその例である。

 オバマ大統領は、安全保障への投資と国内経済への投資の間のバランスを国内経済により重くする方向に変えることを考えており、戦争の費用は無視できないと述べている。しかし、米国は、こと国防費について、GDPに対する割合で冷戦時代よりもはるかに小額しか支出していない。

 米国及びアラブ諸国や欧州の同盟国がイエメンでできることはたくさんある。石油資源や水資源が枯渇したときのための備えや、イエメン北部や南部における紛争への仲介、独立したメディアや市民社会グループへの支援、政府軍の国民を守る能力の強化等である。これらはどれも費用と時間がかかるかもしれない。しかし、それらを行わない場合には、アフガニスタンでのケースのように、アル・カーイダを打ち破ることができないと分かっている政策を遂行することになるのである。